Next.jsアプリのホスティングプラットフォームとして広く使われるVercel。無料プラン(Hobby)でも始めやすい一方、有料プラン(Pro)には大規模開発で欠かせない機能が揃っています。本記事では【2025年版】として、Vercelの無料プラン vs 有料プランを徹底比較し、機能・制限・料金面から最適な選び方をご紹介します。
Vercelのプラン一覧
Hobby(無料)
- 個人プロジェクトや検証用途向けの基本プラン
- 自動CI/CD、プレビュー環境、HTTPS/SSL対応、グローバルCDNなどのコア機能を無料で提供 Vercel
Pro(有料)
- プロ開発者や小規模チーム向け
- 月額$20/ユーザー(チームシート制) Vercel
- Hobbyの全機能+ビルド時間・データ転送量の増強、チームコラボレーション機能、メールサポートなどを追加
Enterprise
- 大規模組織向けのカスタムプラン
- SSO、専用サポート、SLAsなどを提供
Vercelの特徴(プラン共通)
- Next.jsとの統合が強力で、サーバーレスAPIの作成が容易(Next.jsの開発元)
無料プラン(Hobby)の特徴
- コスト:完全無料
- プロジェクト(アプリ数):200
- ビルド実行時間:100時間/月
- デプロイ数:100デプロイ/日
- ドメイン数:プロジェクトあたり50ドメイン Vercel
- 商用利用:不可能
向いているケース
- 個人ブログやポートフォリオ
- 検証環境・PoC
- Next.jsを触り始めたい学習用途
有料プラン(Pro)の特徴
- コスト:$20/ユーザー・月 Vercel
- プロジェクト(アプリ数):無制限
- ビルド実行時間:400時間/月
- デプロイ数:6,000デプロイ/日
- ドメイン数:無制限*(ソフトリミット25,000) Vercel
- 商用利用:可能
- 追加機能:
- リソース10倍
- 高速ビルド(Cold Start Prevention)
- 詳細なパフォーマンス・トラフィック分析
- 高度なWAFルール設定
- Vercel AI Playgroundアクセス
向いているケース
- 商用サービスやトラフィックが多いサイト
- チームでの共同開発
- 高速ビルドと詳細モニタリングが必要なプロジェクト
プラン詳細比較
Vercel LimitsにVercelに適応されるすべての制限と制約のリストがありますので、詳細に知りたい方は確認してみてください。
また、Vercelにおける商用利用に関しては、Fair use Guidelinesに記載がありますので、こちらも必ず確認してみてください。
こちらの記事では、特に気になる点をピックアップして説明致します。
商用利用
まずは、商用利用についての違いです。Hobbyは、非営利目的の個人利用のみに制限されています。
プラットフォームを商用利用するには、ProプランまたはEnterpriseプランへのご加入が必要になると記載があります。
商用利用とは、プロジェクトの制作に携わる者(有給従業員やコンサルタントなど)の金銭的利益を目的として利用されるデプロイメントを指します。これには、以下のようなケースが含まれます。もちろん、これだけではありません。
- サイトの訪問者に支払いを要求または処理する方法
- 製品やサービスの販売を宣伝する
- サイトの作成、更新、ホスティングに対する報酬の受け取り
- アフィリエイトリンクはこのサイトの主な目的です
- Google AdSenseなどのオンライン広告プラットフォームを含むがこれに限定されない広告の掲載
項目 | 説明 | Hobby(無料) | Pro(有料) |
---|---|---|---|
商用利用 | ー | 不可能 | 可能 |
一般的な制限
Hobbyでも十分問題ないと思いますが、Projectsが200を超える場合などは、Proへのアップグレードが必要になってくるかなと思います。
Serverless Functions per DeploymentはHobbyで12個制限がありますが、API Routerなどを使う場合は12個を超えることはほとんどないとのことなので、意外と気にする必要はないかもしれません。
Vercel Functionsを直接利用する場合には注意が必要です。
他は、特にHobbyでできないことはないので、制限に引っかかればProへのアップグレードを検討する感じでしょうか。
項目 | 説明 | Hobby(無料) | Pro($20/month) |
---|---|---|---|
Projects | 1アカウントあたり作成できるプロジェクト数 | 200 | 無制限 |
Deployments Created per Day | 1日あたり作成できるデプロイ数 | 100 | 6,000 |
Serverless Functions per Deployment | デプロイ時に作成可能なサーバーレス関数数(フレームワーク依存) | フレームワーク依存 ※12個制限あり | 無制限 |
Proxied Request Timeout | 外部サーバーへのプロキシリクエストのタイムアウト上限(秒) | 30 | 30 |
Deployments from CLI per Week | CLI 経由で作成できるデプロイ数(週) | 2,000 | 2,000 |
Projects Connected per Repo | 1つの Git リポジトリに紐付けられるプロジェクト数 | 10 | 60 |
Routes per Deployment | 1デプロイあたり作成できるルート(エンドポイント)数 | 2,048 | 2,048 |
Build Time per Deployment | 1デプロイあたりのビルド実行可能時間(分) | 45 | 45 |
Static File Uploads | デプロイ時アップロード可能な静的ファイルの合計サイズ | 100 MB | 1 GB |
Concurrent Builds | 同時に走らせられるビルドマシン数とCPUスペック | 1台(2 vCPU) | 12台(各4 vCPU) |
Disk Size | ビルドコンテナ内のディスク容量(GB) | 23 | 23 |
Cron Jobs | Cron ジョブ設定数 | 2 | 40 |
リソース
リクエスト数やデータ量に10倍の違いがありますが、基本的にはHobbyで事足りる気がします。
API Routerを使う場合は、Function Executionの制限がかかりますが、Proだと10倍の1,000GB/時間まで可能です。
こちらも制限がかかりそうならProを検討していくという方針でいいかなと思います。
項目 | 説明 | Hobby(無料) | Pro(有料) |
---|---|---|---|
Fast Data Transfer | CDN経由で配信可能なデータ量(GB/月) | 100 GB | 1 TB |
Fast Origin Transfer | オリジンサーバーから直接配信できるデータ量(GB/月) | 10 GB | 100 GB |
Function Execution (GB‑Hours) | サーバーレス関数の実行時間×メモリ量の合計(GB‑時間/月) | 100 GB‑時間 | 1,000 GB‑時間 |
Edge Function Execution Units | エッジ関数の CPU 実行時間を 50 ms 単位で計測した合計 | 500,000 ユニット | 1,000,000 ユニット |
Edge Middleware Invocations | Edge Middleware(軽量エッジ関数)の呼び出し回数 | 1 M 回 | 1 M 回 |
Build Execution (時間) | ビルドプロセスに費やせる合計時間(時間/月) | 100 時間 | 400 時間 |
Image Optimization Source Images | 画像最適化処理で入力可能な元画像数(Legacy枠) | 1,000 枚 | 5,000 枚 |
ドメイン
プロジェクトあたりのドメイン数に制限がありますが、標準ドメイン(*.vercel.app)ではなく、カスタムドメインになります。普通に運用していれば、Hobbyでも問題ないかなと思います。
項目 | 説明 | Hobby(無料) | Pro(有料) |
---|---|---|---|
ドメイン数 | プロジェクトあたりのドメイン数 | 50 | 無制限(ソフトリミット:25,000 |
セキュリティ
セキュリティにおける無料プランと有料プランの違いになります。
個人開発レベルであれば、そこまで気にしない方も多いかもしれませんが、セキュリティを強化したい方で使いたい機能があれば、有料プランを検討してみてもいいのかなと思います。
項目 | 説明 | Hobby(無料) | Pro(有料) |
---|---|---|---|
Custom WAF Rules | 独自に設定できるWAFルールの最大数 | 最大 3 ルール | 最大 40 ルール |
Bot Filter | 悪質なボットのトラフィックを自動で遮断 | なし | あり |
IP Blocking | 指定IPからのアクセスを遮断できるルール数 | 最大 3 件 | 最大 100 件 |
IP Bypass Rules | 特定IPをWAFルールの対象外にできるルール数 | なし | 最大 3 件 |
Rate Limiting | 過剰リクエスト時のレート制限機能 | なし | $0.50/1Mリクエストから利用可 |
HobbyとProのどちらを選ぶべきか?
基本的には、Hobbyプランから始めれば問題ない!
商用利用を検討している方、Hobbyではリソース等の制約が掛かってしまいそうな方は、Proプランを検討しましょう!